歩く猫

日々飽和をして溢れてしまう感情を残すために書いています。

言葉のロマン

昨夜、岩盤浴に行き漫画を読んだ。

『チ。地球の運動について』という漫画だ。

15世紀のヨーロッパが舞台で、当時禁じられていた地動説に魅せられて信念を貫く人々の物語が描かれている(大意)

 

漫画の中で『活版印刷』が出てきた。

小学生の頃、火薬と羅針盤に並ぶ発明品として活版印刷があると教わったが、当時はなぜ活版印刷が発明品なの?と不思議だった。

 

火薬や羅針盤が生活を変えるのは小さな頃の自分にも理解できた。

「火薬は『パァーン!』って感じで強そうだし、羅針盤は自分の居る位置がわかるのはインテリでカッコ良さそう。でも活版印刷って地味だし何がすごいの?」

当時の自分はそう思っていた。

 

しかし今では、活版印刷は人類史上最も偉大な発明だと思う。

印刷技術によって文字/言葉を通じて自身の考えを、

時間や場所を超越して伝えることができるのだ。

 

よく人は2回死ぬと言われる。

1回目は身体が無くなったとき。

2回目は人々から忘れられたとき。

そう考えると、文字は私の言葉を、いや言葉を通じて私という存在を縦横に広がる世界に伝播させて、永遠の命を与えてくれるのだ。

ロマンである。

 

私が自己満足で書いているこのブロブも、

どこかのだれかが、今日でも明日でも何年後にでも読んでいてくれたらと考えると非常にワクワクして嬉しい気持ちになる。

 

最後に漫画の中のセリフと丸山薫の言葉を引用する。

 

本当に文字は凄いんです。アレが使えると時間と場所を超越できる。200年前の情報に涙が流れることも、2000年前の噂話で笑うこともある。そんなの信じられますか?

私たちの人生はどうしようもなくこの時代に閉じ込められてる。だけど、 文字を読む時だけは かつていた偉人たちが私に向かって口を開いてくれる。

その一瞬この世界から抜け出せる。

文字になった思考はこの世に残って、 ずっと未来の誰かを動かすことだってある。

そんなの…まるで、奇跡じゃないですか 。(チ。 地球の運動について321話より引用)

 

小説が書かれ読まれるのは、人生がただ一度であることへの抗議からだと思います。

北村薫 「空飛ぶ馬」あとがきより引用

f:id:bokugabokudearutamebi:20231128224821j:image