歩く猫

日々飽和をして溢れてしまう感情を残すために書いています。

吉本ばなな『キッチン』を読んで

読まず嫌いで、ずっと読んでいなかった(そもそも小説ではなくエッセイ集だと思っていた)が、YouTube本仮屋ユイカさんがオススメをしている動画を見て興味を持ち、読んだ。

 

正直言葉にできないが、読んでいて何度も泣きそうになった。強い衝動が襲ってきて涙が出るのではなく、じんわりと心の奥底で閉じていた心のドアを開かれて(読んでいると何かを許された気がして)勝手に涙が出てきてしまった。

読む前は何となくオレンジ色のほっこりするイメージの本だったが、読んでみるとめちゃくちゃ澄んだ青色の本だった。

 

今まで読んでこなかったことを後悔する気持ちよりも、今このタイミング(社会に出て数年が経った現在)に出会えて良かったと思えた。

 

自分にとって本当に大切な感情や大切なことを思い出させてくれる小説だった。

お金や宝石や功績などを得ることは凄いことだし、大事なことだと思う。

でもそれに勝るような一夜限りの出来事や、一晩の夕食が存在すると思えた。(ずっと心の中で自分を支えてくれるような思い出)

 

毎日が良いことばかりではないし、壊れてしまいそうな夜をこれから何回も経験すると思う。

でも同じくらいに良いことも沢山あるし、素敵な瞬間を何度も経験するだろうし、経験するために全力で生きようと思えた。

 

難しい言葉遣いはしていないがそれでいて心に響いてブルーハーツの曲 と同じような本だなと直感的に思った。

 

あまりまとまりのない文章になってしまったが、今はそれはそれでいいと思う。

 

この本を読んだことで自分自身のdoが変わるかは分からない。しかし、beの部分が微かだが絶対的に変化、柔らかく変わった気がする。

 

オズの魔法使い星の王子さま、僕らの七日間戦争、都会のソムソーヤなど、自分にとって宝物の本はいくつかあるが、この本も宝物の一冊になるだろう。

(自分の肌にあった本を読むと本が自分の身体の一部になった気がして、強く優しくなれる気がする)

 

これからもこんな体験のできるような本に出会いたいし、そんな本に出会えるような生き方をしていきたい。

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